本文へスキップ
J鉄局の珍車ギャラリー

東武鉄道 250系 250-3形

ギャラリー

「−−扉がない車両−−」
  東武鉄道 250系「りょうもう号」 250-3形

画像をご覧ください。
これは東武特急「りょうもう号」の
4号車に連結されている車両です。
客室扉がありません。
デッキ部分の空間を削って、
端から端まですべて客室にしています。
これは珍しいですね。とはいえ
このような車両はほかにないわけではありません。
たとえば、かつて
貨車をトロッコ列車に転用した例があります。
貨車ですからそもそも客室扉なんて
あるわけありません。
控え車となる客車から乗り込むことになるのは
仕方ないですね。
あと食堂車なんかは業務用扉はついておりますが、
営業スペースを確保するため
客室扉は設けられていません。
対して、「りょうもう号」は客車です。
自分の指定席が3号車であっても
隣の2.4号車から乗り込むしかないわけで、
初めての人は面食らいますよね。

まずは「りょうもう号」についてみてゆきます。

「りょうもう号」は、赤城・伊勢崎方面と都心を
直結するビジネス急行として
1969年から専用車両である1800系によって
運行されていました。
観光列車であるDRC(1720系)とは異なり
ビジネス列車とされたため、
座席はクロスシート(回転式)ですが
リクライニング機能はありません。
性能面では、同時期に製造された8000系と
主電動機、主制御器は同じタイプです。
(設定は変更あり)
台車も8000系と同様のミンデンドイツ式
(一部S形ミンデン)です。
もっともダンパを追加するなど
チューンアップはしているんですが、
DRCばかりに心を奪われていた私は
1800系の写真がないのです。
1800系は98年には「りょうもう号」から撤退。
その後、通勤車として再起したのですが、
2018年には形式消滅。
ああ、その写真もありません。
思いっきり後悔しています。

それはさておき、「りょうもう」号は、
99年特急に格上げされ、
200、250系で運行されることになりました。
接客面、性能面において
1800系を上回る新型車両です。

200系は1990~98年に6連9本、計54両が
東急車輛・アルナ工機において製造されました。
全車1700系・1720系 「DRC」の
車体更新名義となっています。
つまり200系の製造に際しては、
構体は台枠より新製したものの、
100系「スペーシア」の増備に伴って
代替が進行していた1700系・1720系「DRC」
の台車・主電動機など主要機器を
流用していたのです。
座席も一部、DRCのものを再生していました。

対して1998年に6連1本が増備された
250系は新車扱いです。
これは、改造元であった
1700系・1720系が9編成54両しかなく、
種車が底をついていたためで、
増備するにあたっては
主要機器を含めて完全新製するしかなかった
というわけです。

こちらは、当時増備が進められていた
30000系通勤車をベースに、
VVVFインバータ制御やボルスタレス台車といった
当時の最新技術を採用しています。
もちろん250系は200系と共通運用です。
200系は1960年に登場した
1700系・1720系の足回りを
再利用しているわけですが、
走行性能、乗り心地ともに、
現在でも通用する「DRC」の遺産には
脱帽するしかありません。
250系の車体自体は、定員も座席配置も
200系と変わるところはありません。
4号車に客室扉がないのも同じです。

さてどうしてこのような車両が
生まれたのかというと、
200系をデビューさせるにあたって、
先代「りょうもう号」1800系と同じ
定員数を確保する必要があったからです。

ところが、207編成以降において、
車椅子スペースの設置等、
バリアフリー対策が盛り込まれたことに伴い、
3号車(モハ200-4形、モハ250-4形)の扉幅が
1,000 mmに拡幅されるとともに
車体中央寄りに移設されることになりました。
当然定員数も減っています。
これら仕様変更は201 - 206編成についても
1998年までに実施され、
200系全編成とも仕様が統一されました。
これを機に4号車に車椅子スペースを設置、
幅1,000 mmの扉を新設という手もあった
のではと思いますがそうはなりませんでした。
そうすれば、定員が大幅に減ってしまいますから。

ところで100系「スペーシア」
B号車(モハ100-4形)にも客室扉がありません。
(販売カウンター付き車両で業務用扉はあります。)
そして、1700、1720系「DRC」
B号車(モハ1700、1720形)にも
客室扉がありません。 
(こちらも、サロンルーム付き車両で
業務用扉があります。)
いずれも、「りょうもう号」の4号車と
位置は違いますが、
東武特急6両編成を概観してみると、
3号車、4号車のいずれかに扉がなくとも
扉相互の間隔はほぼ等間隔です。
指定された座席まで移動する際、
その距離が長いのは先端車両の両端座席であって、
3号車であれ4号車であれ、
歩く距離はおおむねその半分です。
思えば、東武では「DRC」を登場させたときから、
6両編成全体を一つのユニットとして
完成させていたのです。
ちなみに1700系では
1号車も3号車も編成車両すべてが1700形です。
さすがに今は−(ハイフン)をつけて区別していますが、
当時の意気込みを感じます。

客室扉のない車両は
東武特急ではスタンダードなのです。

−鉄道車両写真集−
東武 250系 りょうもう
100系   スペーシア 

200系 りょうもう

1700系 1720系 DRC 
 
   へJUMP