特定地方交通線は、いわゆる国鉄再建法に規定する地方交通線のことですが、83線を数えます。
偶然にも、数が同じなもので混同してしまいがちなのですが,ここでご紹介する赤字83線は
1968年国鉄諮問委員会が、赤字にあえぐ国鉄を立て直すために提出した意見書において、
使命を終えたとする83線のことです。さて、その目安は…
1. 営業キロが100km以下で、鉄道網全体から見た機能が低く、沿線人口が少ない。
2. 定期客の片道輸送量が3,000人以内、貨物の1日発着600t以内。
3. 輸送量の伸びが対抗輸送機関を下回り、旅客・貨物とも減少している。などです。
この基準により、83線(2,590.6km)が選定されますが、地元の反対運動により進捗せず、
1972年。時の総理大臣田中角栄氏が、この取り組みを凍結するまで、
わずか11線(116.0km)が廃止されたのにとどまりました。
(なおこの83線に含まれていなかった4線(19.0km)も廃止されています。)
このときの反省をふまえ、国鉄再建法では、より客観的な尺度で特定地方交通線がピックアップされます。
生き残った72線のうち48線が再度、ピックアップされることになるのですが、残り24線については
路線延長により延命した例が、多いようです。
路線延長によって利便性が増し利用者の拡大に繋がっている事実は否めませんが、
赤字を脱却できるほどに好転した例はあるのでしょうか。膨大な額にのぼる建設費の償還を含め、
国鉄に新たな財政負担を負わせたというのが、妥当なところでではないでしょうか。
no | 線名 | 区間 | 路線長 | 3セク転換 | 備考 | 廃止 |
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1 | 標津線 | (標茶-根室標津、中標津-厚床 | 116.9km) | 第2次特定地方交通線 | 1989/4/30 | |
2 | 根北線 | (斜里-越川 | 12.8km) | 1970/12/1 | ||
3 | 白糠線 | (白糠-上茶路 | 25.2km) | 上茶路-北進間延長。1972/9/8 | 1983/10/23 | |
4 | 札沼線 | (桑園-石狩沼田 | 111.4km) | 72/6/19 新十津川-石狩沼田間(34.9km)廃止 | 一部存続 | |
5 | 深名線 | (深川-名寄 | 121.8km) | 第1次特定地方交通線 | 1995/9/4 | |
6 | 美幸線 | (美深-仁宇布 | 21.2km) | 第1次特定地方交通線 | 1985/9/17 | |
7 | 興浜北線 | (浜頓別-北見枝幸 | 30.4km) | 第1次特定地方交通線 | 1985/7/1 | |
8 | 興浜南線 | (興部-雄武 | 19.9km) | 第1次特定地方交通線 | 1985/7/15 | |
9 | 渚滑線 | (渚滑-北見滝ノ上 | 34.3km) | 第1次特定地方交通線 | 1985/4/1 | |
10 | 湧網線 | (中湧別-網走 | 89.8km) | 第2次特定地方交通線 | 1987/3/20 | |
11 | 相生線 | (美幌-北見相生 | 36.8km) | 第1次特定地方交通線 | 1985/4/1 | |
12 | 富内線 | (鵡川-日高町 | 83.0km) | 第2次特定地方交通線 | 1986/11/1 | |
13 | 岩内線 | (小沢-岩内 | 14.9km) | 第1次特定地方交通線 | 1985/7/1 | |
14 | 江差線(一部) | (木古内-江差 | 42.1km) | 存続 | ||
15 | 瀬棚線 | (国縫-瀬棚 | 48.4km) | 第1次特定地方交通線 | 1987/3/16 | |
16 | 気仙沼線 | (気仙沼-本吉、南気仙沼-気仙沼港(貨物支線) | 22.9km) | 77/12/11柳津-本吉間(34.0km)延長。柳津線前谷地-柳津間を編入して気仙沼線となる。貨物支線は、79/11/1廃止 | 存続 | |
17 | 小本線 | (茂市-浅内 | 31.2km) | 72/2/6 浅内-岩泉間(7.4km)延長。岩泉線に改称 | 存続 | |
18 | 八戸線(一部) | (鮫-久慈 | 53.1km) | 75/7/20 久慈-普代間(26.0km)を久慈線として延長。 | 存続 | |
19 | 大湊線 | (野辺地-大湊 | 58.4km) | 存続 | ||
20 | 大畑線 | (下北-大畑 | 18.0km) | 1985/7/1 | 下北交通に転換。1次線 | 2001/4/1 |
21 | 長井線 | (赤湯-荒砥 | 30.5km) | 1988/10/25 | 山形鉄道に転換 3次線 | 存続 |
22 | 阿仁合線 | (鷹ノ巣-比立内 | 46.1km) | 1986/11/1 | 秋田内陸縦貫鉄道に転換 2次線 | 存続 |
23 | 黒石線 | (川部-黒石 | 6.6km) | 1984/11/1 | 弘南鉄道に転換。1次線 1998年4月1日廃止 | 存続 |
24 | 矢島線 | (羽後本荘-羽後矢島 | 23.0km) | 1985/10/1 | 由利高原鉄道に転換 1次線 | 存続 |
25 | 川俣線 | (松川-岩代川俣 | 12.2km) | 1972/5/14 | ||
26 | 会津線 | (西若松-会津滝ノ原、 | 100.4km) | 1987/7/16 | 西若松-会津滝ノ原間は、会津鉄道に転換 | 存続 |
会津宮下-只見 | 71/8/29只見-大白川間(20.8km)開業。只見線小出-大白川間を含め会津若松-小出間が只見線となる。 | 存続 | ||||
27 | 日中線 | (喜多方-熱塩 | 11.6km) | 1984/4/1 | ||
28 | 只見線 | (小出-大白川 | 26.0km) | 会津線の項を参照 | 存続 | |
29 | 赤谷線 | (新発田-東赤谷 | 18.9km) | 第1次特定地方交通線 | 1984/4/1 | |
30 | 魚沼線 | (来迎寺-西小千谷 | 12.6km) | 第1次特定地方交通線 | 1984/4/1 | |
31 | 弥彦線(一部) | (東三条-越後長沢 | 7.9km) | 1985/4/1 | ||
32 | 烏山線 | (宝積寺-烏山 | 20.4km) | 存続 | ||
33 | 真岡線 | (下館-茂木 | 42.0km) | 1988/4/11 | 真岡鐵道に転換 2次線 | 存続 |
34 | 木原線 | (大原-上総中野 | 26.9km) | 1988/3/24 | いすみ鉄道に転換 1次線 | 存続 |
35 | 能登線 | (穴水-蛸島 | 61.1km) | 1988/3/25 | のと鉄道に転換。3次線 | 2005/4/1 |
36 | 三国線 | (金津-芦原 | 4.5km) | 廃止(芦原-三国港間(5.2km・休止線)を含め廃止)。京福電気鉄道三国芦原線に組み込まれる。 | 1972/3/1 | |
37 | 越美北線 | (南福井(貨)-勝原 | 43.1km) | 72/12/15勝原-九頭竜湖間(10.2km)延長 | 存続 | |
38 | 越美南線 | (美濃太田-北濃 | 72.2km) | 1986/12/11 | 長良川鉄道に転換 2次線 | 存続 |
39 | 明知線 | (恵那-明知 | 25.2km) | 1985/11/16 | 明知鉄道に転換 1次線 | 存続 |
40 | 名松線 | (松阪-伊勢奥津 | 43.5km) | 存続 | ||
41 | 参宮線(一部) | (伊勢市-鳥羽 | 14.1km) | 存続 | ||
42 | 信楽線 | (貴生川-信楽 | 14.8km) | 1987/7/13 | 信楽高原鐵道に転換 1次線 | 存続 |
43 | 篠山線 | (篠山口-福住 | 17.6km) | 1972/3/1 | ||
44 | 三木線 | (厄神-三木 | 6.8km) | 1985/4/1 | 三木鉄道に転換 1次線 | 存続 |
45 | 北条線 | (粟生-北条町 | 13.8km) | 1985/4/1 | 北条鉄道に転換 1次線 | 存続 |
46 | 鍛冶屋線 | (野村-鍛冶屋 | 13.2km) | 1990/4/1 | ||
47 | 若桜線 | (郡家-若桜 | 19.2km) | 1987/10/14 | 若桜鉄道に転換 1次線 | 存続 |
48 | 倉吉線 | (倉吉-山守 | 20.0km) | 第1次特定地方交通線 | 1985/4/1 | |
49 | 大社線 | (出雲市-大社 | 7.5km) | 第3次特定地方交通線 | 1990/4/1 | |
50 | 三江北線 | (江津-浜原 | 50.1km) | 75/8/31浜原-口羽間(26.9km)延長。三江南線と合わせて三江線と改称 | 存続 | |
51 | 三江南線 | (三次-口羽 | 28.4km) | 三江北線の項参照 | 存続 | |
52 | 宇品線 | (広島-上大河 | 2.4km) | 1972/4/1 | ||
53 | 可部線(一部) | (可部-加計 | 32.0km) | 69/7/27加計-三段峡間(14.2km)延長。 | 2003/12/1 | |
54 | 岩日線 | (川西-錦町 | 32.7km) | 1987/7/25 | 錦川鉄道に転換 2次線 | 存続 |
55 | 内子線 | (五郎-内子 | 10.3km) | 予讃本線新線に接続、86/3/3五郎-新谷間廃止 | 存続 | |
56 | 宇和島線 | (北宇和島-江川崎 | 33.6km) | 1974/3/1 | 74/3/1 江川崎-若井間(42.7km)延長。予土線と改称 | 存続 |
57 | 鍛冶屋原線 | (板野-鍛冶屋原 | 6.9km) | 1972/1/16 | ||
58 | 鳴門線 | (池谷-鳴門 | 8.3km) | 存続 | ||
59 | 牟岐線(一部) | (阿南-牟岐 | 43.3km) | 73/10/1牟岐-海部間(11.6km)延長。 | 存続 | |
60 | 小松島線 | (中田-小松島 | 1.9km) | 第1次特定地方交通線 | 1985/3/14 | |
61 | 中村線 | (窪川-土佐佐賀 | 20.7km) | 1988/4/1 | 70/10/1土佐佐賀-中村間(22.7km)延長。 土佐くろしお鉄道に転換 3次線 |
存続 |
62 | 室木線 | (遠賀川-室木 | 11.2km) | 第1次特定地方交通線 | 1985/4/1 | |
63 | 香椎線(一部) | (香椎-宇美 | 14.1km) | 存続 | ||
64 | 勝田線 | (吉塚-筑前勝田 | 13.8km) | 第1次特定地方交通線 | 1985/4/1 | |
65 | 佐賀線 | (佐賀-瀬高 | 24.1km) | 第2次特定地方交通線 | 1987/3/28 | |
66 | 唐津線(一部) | (山本-岸嶽 | 4.1km) | 1971/8/20 | ||
67 | 世知原線 | (肥前吉井-世知原 | 6.7km) | 1971/12/26 | ||
68 | 臼ノ浦線 | (佐々-臼ノ浦 | 3.8km) | 1971/12/26 | ||
69 | 添田線 | (香春-添田 | 12.1km) | 第1次特定地方交通線 | 1985/4/1 | |
70 | 香月線 | (中間-香月 | 3.5km) | 第1次特定地方交通線 | 1985/4/1 | |
71 | 幸袋線 | (小竹-二瀬、幸袋-伊岐須(貨) | 10.1km) | 1969/12/8 | ||
72 | 宮原線 | (恵良-肥後小国 | 26.6km) | 第1次特定地方交通線 | 1984/12/1 | |
73 | 日ノ影線 | (延岡-日ノ影 | 37.6km) | 1989/4/28 | 72/7/22日ノ影-高千穂間(12.5km)延長。高千穂線と改称。高千穂鉄道に転換 2次線 | 休止 |
74 | 細島線 | (日向市-細島 | 3.5km) | 72/2/1旅客営業廃止。日豊本線の無名支線となる。 | 1993/12/1 | |
75 | 矢部線 | (羽犬塚-黒木 | 19.7km) | 第1次特定地方交通線 | 1985/4/1 | |
76 | 湯前線 | (人吉-湯前 | 24.9km) | 1989/10/1 | くま川鉄道に転換 3次線 | 存続 |
77 | 高森線 | (立野-高森 | 17.7km) | 1986/4/1 | 南阿蘇鉄道に転換 1次線 | 存続 |
78 | 山野線 | (水俣-栗野 | 55.7km) | 第2次特定地方交通線 | 1988/2/1 | |
79 | 宮之城線 | (川内-薩摩大口 | 66.1km) | 第2次特定地方交通線 | 1987/1/10 | |
80 | 指宿枕崎線(一部) | (山川-枕崎 | 37.9km) | 存続 | ||
81 | 妻線 | (佐土原-杉安 | 19.3km) | 第1次特定地方交通線 | 1984/12/1 | |
82 | 日南線 | (南宮崎-志布志 | 89.0km) | 存続 | ||
83 | 古江線 | (志布志-海潟 | 64.8km) | 72/9/9海潟温泉(海潟)-国分間(33.5km)延長。大隅線と改称。2次線 | 1987/3/14 |
この表の作成にあたっては、「国鉄があった時代」のWebページとウィキペディアのWebページを参考にしています。